風間監督、解任すべき?しないべき?を考える

【前置き】

うーんと、何連敗でしたっけ?

なかなか出口の見えない連敗道を進んでいる名古屋グランパス

当然、指揮官である風間八宏監督の進退問題は浮上してきますよね。

ここ数日、ネット上でも、解任派と続投派でそれぞれ意見が共有され、一部議論の的にもなっています。

ということで、常に素材を提供するべき私が、私が目にしたそれぞれの立場の意見を、私なりに集約して、名古屋グランパスに関わる方々の現在地みたいなものをおぼろげながら整理してみたいと思います。

私の立場は明らかにするかもしれませんし、しないかもしれません。笑

 

  1. 風間監督を解任すべき派の主な意見とそれに対する感想
  2. 風間監督を続投すべき派の主な意見とそれに対する感想
  3. 中間派の主な意見とそれに対する感想

 

【風間監督を解任すべき派の主な意見とそれに対する感想】

・このスタイルに未来が見えない

色々目にはしましたが、この一言に集約されるのではないでしょうか。

風間監督が提唱する、細かいパスで局面を打開して相手の背後を取ることはできず、得点を外国人、しかもセットプレー等でしか取れないという攻撃面での現状と

とにかく失点が多い(しかも取られる時間帯や取られ方が悪い)という守備面での現状を受け、これ以上風間監督の指導や采配を続けさせても、きっといいことはないだろうという意見ですね。

おそらく解任派のほとんどの方が、「J2降格」を最優先に避けるべきだという考えがベースにあるものだと思われます。

どんなに華麗とは程遠く、かっこ悪いプレーだったとしても、降格よりはマシだっていうことですね。

我々は最近、クラブのゴタゴタを引きずる形でJ2降格(そこからの中心選手の離脱や契約満了)→J1昇格という、大変厳しい環境を経験していることもあっての意見でしょう。

2度と同じ経験はしたくないという強い想いが伺えます。

 

・8連敗という現状に対して、何かしらの手を打たないといけない

欧州サッカー事情に比較的明るいファン層で出ている意見かと思います。

どんなビッグクラブでも、ビッグネームでも、ここまで結果が出ていない場合、指揮官に責任を取らせる人事は珍しくないみたいですね。

と言われても、ここ数年でパッと思い浮かぶのは、ミラン、マドリー、あとはスパーズのような、スタイルありきよりも結果ありき(スパーズは今違うけど)のクラブですけど。

どちらかというと、現在の欧州は結果を出していても解任される監督の方が多い気がします。以前のバイエルンアンチェロッティとか、ドルトムントトゥヘルとか。

 

とりあえず、現状打破のための打ち手の一つという認識でしょうか。

 

・決して風間監督じゃなくても、同様のスタイルは踏襲できる

ボールを大事にして、常に自分たちがボールを保持する中で意図的にスペースを作り、相手を崩していくというスタイルは、風間監督以外の指導者でも理想として掲げる人間は多いですよね。

その中で、守備の整備にも手をつけられる、風間監督よりもバランスがある監督に変えるべきだという意見です。

確かに、ボールを保持するチームを作っている割には、ボールを失った後、ボールを奪い返すためのオーガナイズや、相手にビルドアップされている時のオーガナイズ、更にはカウンター対策などがあまりにも疎かすぎるとは思います。

複数失点(というよりも3失点)が続いている状況の中で、守備から入れとは言わないけど、ボールを失った時の回収方法やカウンター対策くらいは落とし込めよ!ということですね。

まぁおっしゃることはよくわかります。

海外含めて探せばそれなりの指導者をリストアップできる可能性は高いと思います。

ただ、その新監督への年棒だけでなく、シャビエルの買取金や、風間監督を解任する際に発生する違約金もあります。(報道だと3年契約の2年目なので)その辺のコストマネジメントを考えると、解任!解任!とだけ叫ぶのも現実的じゃない気もします。

 

・指揮官としては適任じゃない。指導者として雇えば?

11対11における戦術家としては失格。川崎時代だって結果を出せていない。

ただ、中村憲剛大久保嘉人などのベテランにより輝きを与えたり、大島僚太等、有望株を日本を代表するレベルの選手にまで引き上げた、個人技術にフォーカスした個人指導(頭も体も)については向いていると思う。クラブには留まって、ユースを含めた東海地区のグランパスに関わる少年、青年などの底上げに関わってほしいという意見もありましたね。

 

だいたい、解任派の意見を集約するとこんなもんでしょうか。細かい意見を拾い上げたりきりがないので、あくまでも集約したまでです。

 

【風間監督を続投すべき派の主な意見とそれに対する感想】

選手:赤鯱新報や各種メディアでの選手のコメントを見ると、監督に対する不満は文章の上ではあまり読み取れません。それよりも、自分たちの不甲斐なさ(技術や個人戦術の部分)に対して憤りと情けなさを感じている選手が多い印象です。

まぁ心の中で何を思っているかはわかりませんが、今の所そういう報道はないですね(万が一降格した時にどこかの新聞社が書きためたネタを出しまくってくるかもしれませんが)

監督が指し示しているビジョンや指導については概ね納得されているのではないか。とも思えます。

選手の中から造反や反論意見が湧き上がらないうちは、様子を見るべきとも思えます。

 

フロント:小西社長に関しては、以下の記事が出ています。

www.nikkansports.com

自身の責任を問われた風間監督は「僕が決めることではない。チームが決める」と表情を変えず堂々と言い切った。小西社長は笑みも浮かべ「中長期でやっている。今やっていることをやり続けてもらいたい」と現体制で戦い続けると断言した。

 

 ということで、現時点では続投という意見でしょうか。

実は、風間監督続投派の意見として少なくないのが、小西社長に対する信頼ですね。

J2降格してから今日までの、小西社長のクラブ作りに対して一定の評価をしているファン・サポーターが多く、「彼の判断なら尊重する、信じたい。」という意見は結構目にしました。

大森征之チーム統括部スポーツダイレクター:大森氏については、クラブHP内にこういった記事がありました(有料記事です)

【スタッフインタビュー】大森征之(チーム統括部スポーツダイレクター)「チームを“統括”して、グランパスを一つに」 | インサイド・グランパス

有料部分をペーストするのは気がひけるので、要点だけ書くと、今後のグランパスのビジョンに対して、以下のように述べています。

・このクラブはグローバルな企業が支えてくれている

グランパスはそういうところにいける可能性のあるクラブ

・目標としてそこ(クラブW杯)が到着する最終地点

・この3年以内にアジアチャンピオンズリーグの出場権を獲得すること

・もちろん、(その間に)タイトルが取れたら非常にいい

・さらにその5年後にはクラブW杯に出場して、グランパスの強さを証明したいそのためには、選手を鍛えなくてはいけないし、アカデミーから選手を育てなくてはいけない。

 ということで、2020シーズンまでに、J1で3、4位以内(できればタイトル獲得)を目指しており、そのための風間監督招聘と、アカデミーとの連携ということをある程度ハッキリ述べています。

上記を鑑みると、クラブ側としては、現時点においても風間監督に対する信頼は揺らいでいないと見るのが自然かもしれません。

 

続投派の方々の多くが、こういったクラブの中長期的なビジョンに基づいて、実際にチームスタイルも変わりつつある現状に対して、クラブへの評価と産みの苦しみを十分踏まえた上での続投という意見なのだと理解しています。

それに関連して、以下2点も意見としてよく目にします。

 

・小倉の時よりはマシ(ビジョンがある)

・クラブがそういう体制で既に補強等も進めている

 

小倉体制時(2016シーズン)は、現場もフロントも抱き合わせで総崩れしていく様を見てきているだけに、こういった比較論が出てくるのは自然といえば自然です。

ただ、小倉監督時も、ビジョンが無かったわけではないです。むしろ、ビジョンはかなり強くメッセージとして出ていたのではないでしょうか。

今改めて見ると、なんでかわかりませんが笑えてくるという方もいらっしゃるかもしれませんが、一応貼ります。

www.youtube.com

ピッチ外:中林氏を中心とした「愛されたいクラブ宣言」に代表される、「グランパスで一つになる幸せ」というビジョン。地域との連携、タッチポイントの増加。SNSでの取り組みなど、今に繋がるものも多いのではないでしょうか。

マーケティングのプロがグランパスを変革する/前編「三重苦の中で学んだ“志高く”という信念」 | サッカーキング

マーケティングのプロがグランパスを変革する/後編「自分の仕事は日本のサッカー界の閉塞感を打ち破ること」 | サッカーキング

 

ピッチ内:小倉監督もビジョンは明確化していました。

「FOOTBALL STYLE」「FOOTBALL PRINCIPLE」そして「MENTALTY」の3項目です。

「FOOTBALL STYLE」について

昨年の就任記者会見の時から、新体制発表会で発表すると小出しにし、キーワードしか伝えていませんでした。そのキーワードとして、グランパスが目指すスタイルは、スマートでインテリジェンスに溢れ、そしてテクニカルであり組織として共感するサッカーです。

 

ただ、指揮官自身、上記の抽象的なコンセプトを、実際にピッチ上で発揮するための設計図の描き方や落とし込み方を含めた、圧倒的な経験不足からくる指導力不足や、首脳陣の実力不足が存在していました。

なので、小倉監督と風間監督について、ビジョンありきでの比較論はあまり意味がないと思います。お互いにそれは明確にしていたので。

小倉監督が結果を出せなかったのはビジョンがなかったからではないし、あの年にクラブが大きく崩れてしまったのも、それが理由ではないと思うからです。(報道に出ていたことも出ていなかったことも含めて、圧倒的なマネジメント不足はあったかもなぁとは想像できます)

 

・選手層がそもそも薄い

ビハインド時に投入される攻撃的選手が、J1での実績が不足している内田健太押谷祐樹、大ベテランでフル稼働の難しい佐藤寿人玉田圭司、あとは特別指定の現役高校生では誰が監督やっても厳しいだろ!ということですね。

欲を言えば、深堀隼平や、大垣勇樹あたりがもっと伸びてきてほしいところですが。。。

 

・やり方を変えてもついていける選手がいない

上記にも関連しますが、風間スタイルありきでの選手構成を昨シーズンから今シーズンにかけて進めているのと、そういったテクニカルな若手選手の底上げをベースに、チームの背骨を優良な外国籍選手で固めるという方針を現在取っています。(大森氏のインタビュー参照)

そのため、例え守備を意識したリアクションも含めたソリッドなスタイルを選手たちに提供しても、それをJ1レベルで実践できる選手なんて一人もいないだろう!っていう意見です。確かに今のメンバーで、強度の高いプレッシングを自陣で行うのは難しそうです。

そして特別指定選手や新加入が内定している選手の特徴をみても、今後も風間スタイルを継続していくことが想像できます。

 

・川崎時代もすぐには結果が出なかった。このやり方には時間がかかるから、我慢すべき

実際に川崎フロンターレの成績ってどうだったんだろう?と思って、調べてみました。

 

まず、風間監督が川崎の監督に就任したのが2012年4月からです。その年は途中でチームを引き継ぎ、18チーム中8位でした。

そして就任2年目はどうだったかと言うと、

Jリーグでは18チーム中3位。天皇杯はベスト8、ナビスコカップはベスト4でした。

リーグでは1位広島との勝ち点差は3ポイント。総得点は65点(浦和に次ぐリーグ2位)、失点は51点(リーグ10位/18)

 

2年目に結果出してるやん!!笑

 

この年は新加入の大久保嘉人がいきなり得点王に輝いてました。(この年を含めてこの後3年連続得点王)

もう少しこの年の川崎を調べてみました。

  • 34試合中31試合が4バックシステム(ほとんどが4-2-3-1もしくは4-4-2)
  • チームアシスト王はレナト、次いで中村憲剛

川崎に詳しい人に何人か聞きましたが、この年の川崎はボール保持率を高めるアプローチは継続しつつも、基本的な得点パターンは、中村やレナトを起点にしたカウンターが多く、その切れ味は強烈だったそうです。

そのためにも、ダブルボランチ山本真希稲本潤一をチョイスすることが多く、CBのジェシ含めて、中盤センターはかなり強固だったと。

 

補強やコンバートについても、この年以降から、風間色を強めに出すようになります。

2012年の新加入選手を見ても、風間監督っぽさはあまりありません。

 

ということで、名古屋グランパスでの2年目と、川崎フロンターレでの2年目ではピッチ内外のアプローチが異なっていそうです。

ただ、止めて蹴る、相手を外すという風間監督の三大原則を、各選手が適所で発揮できた選手たちが多かったからこそ、結果がついてきたのではないでしょうか。

ということは、このやり方には我慢が必要だっていうのは、結果を出しながらコンセプトを高めていくっていうのを考えると、必ずしも100%当てはまらない気もします。

 

 

続投派の意見と、それに対する根拠やコメントを付記して集約するとこんな感じになりますかね。

 

【中間派の主な意見とそれに対する感想】

・ワールドカップによる中断期間までは様子を見るべき

今年はワールドカップが6月から開催されるため、それまでの日程がかなりタイトになっています。

そのため、選手のコンディショニング最優先の調整になり、戦術的な積み上げや修正、スカウティングを踏まえての準備時間は多くないです。

ですので、悪い流れを断ち切ることが難しい。そこまでは様子を見てもいいんじゃないかという意見です。

 

・夏の移籍市場で、人員によってある程度修正

ここまで戦ってきて、風間監督のスタイルを体現するために、更に底上げが必要なピースやポジションは見えてきてると思うので、そこは割り切って外注するということは十分考えられます。それを踏まえて、今年1年は様子を見るのもいいのでは?という意見ですね。ただもし外国籍選手を取る場合、アジア枠を含め、現状で既に枠は埋まっています。しかもほぼ全員の選手が主力なので、外国籍選手の獲得は考えづらいでしょう。

となると、日本人選手になりますが、国内はリーグ戦の真っ只中です。となると、他のチームでゲームに出られていない選手くらいしか呼べません。それで果たして底上げになるのか?はしっかり議論した方が良さそうです。

個人的には、海外でプレーする日本人選手を、海外シーズン前に獲得というのが一番理想的だと思います。

ほら、2人くらい名古屋出身の選手がいるじゃないですか。2人とも年齢的にはピークかそれを超えたくらいですし。ほらほら。

 

まぁ、風間監督も、常々、年齢関係なく全員を争わせてチームを底上げしていかないといけないとコメントしています。選手層については議論の余地がありそうですよね。

 

新井が復帰してからのゲームを観ないことには判断できかねる

昨シーズンの夏の躍進を支えた選手の一人です。この選手が怪我から復帰してきて、どれだけJ1相手に抑止力となるかは相当なポイントになるかと私も思います。

彼が通用しない状況っていうのはあまり想像はしたくないですがね・・・

 

【まとめ】

いかがだったでしょうか。

ある程度集約させながら、根拠も推論した上で、議論のネタを提示してみました。

人それぞれ、名古屋グランパスに対する立ち位置は異なります。

したがって、クラブに求める姿も異なります。

でも、名古屋グランパスのファン・サポーターであるのなら、勝ってほしいはずですし、楽しい試合が観たいはず。そこだけは共有できる部分だと思います。

共有部分を互いに認識し合えば、水掛け論や穴のつつき合いではない、前向きな議論ができます。

このブログを是非題材にしていただいた上で、名古屋グランパスがもっと良くなるために、共有部分をベースにどんどん語り合っていただければ、「素材」としては本望であります。

 

(私は、、、中間派ですかね。戦術的な抜本的な修正も必要だと思うので、ゲームや風間監督の采配等については批判を続けますが、ある程度クラブの取り組みも理解しているつもりなので)