やってることは変わらん

7連勝中と今の苦しい状況において、何もやっていることは変わらない。

変わらないこと、変わらないことで相手が何をしてきており、それによって自分達がどうなってしまっているかを、文字だけではあるが、簡単に整理する。

 

・ジョーが決めるか決めないか

→7連勝中は7試合中6試合でゴール(決めなかった鳥栖戦は欠場)、かつ合計12ゴール。その後は決定機を外す場面も。

仙台戦 先制点(勝利得点)ペナ付近でセンタリングを受け、一旦外に流れてから前田直輝とワンツーで右足フィニッシュ

ガンバ戦 1点目はPK。2点目は前田のニアゾーンからのグラウンダーのセンタリングを左足ワンタッチで流し込む。3点目はセンタリングを頭でシャビエルに流し、その後ボールを受けて右足で叩き込む 

鹿島戦 自らドリブルでボールを運び、左サイドの前田とのワンツー、こぼれ球を右足で叩き込む

マリノス戦 1点目はカウンターからシャビエルのスルーパスを受け、右足で決める。2点目は右サイド相馬のセンタリングに頭で合わせる

浦和戦、1点目はシャビエルのFKに頭で合わせる。2点目は相馬の左サイドからのセンタリングを走りながら左足でワンタッチゴール。3点目も相馬の左サイドからのアーリークロスを右足でワンタッチ。

磐田戦、1点目はカウンターから最後前田のパスを左足で混戦の中でワンタッチ。2点目はカミンスキーのパスを奪ってそのまま右足で。

 

7連勝後の長崎戦(3-4)では2ゴール決めるが、その後は札幌戦の1ゴール(PK)と、7連勝後は8試合で3ゴールのペースに留まっている。

決定機はその中で幾つもあったが、決めきれない場面が目立った。

ジョーのゴールの決め方を見ると、バリエーションが豊富なのはもちろんだが、それ以上に注目すべきなのが以下の2点。

①自分が自分のゴールの起点になっていることが多い。

②ペナ内でのワンタッチゴールや、混戦の中での押し込みが多い。

ジョーはゴールを決めるためには、次の要素が必要になる。

・自分がアタッキングサードで受けて前を向く

・ゴールに近い位置でボールを受ける

この要素をどれだけ作っていけるかが、ジョーがゴールを決める(名古屋が勝つ)重要な鍵になってくる。7連勝後は、ジョーが落ちてボールを受けたり、ロングボールを受ける場面が増えた。

ただ闇雲に、ジョーがボールを受けたり、触る回数を増やしても意味がない。

適切なエリアで、適切な形でボールを預けないと効果は発揮されない。

今は、ジョーがペナ内で相手DFと質を競う場面自体が以前よりも作れていないし、機会が少ないため、ジョー自身も決定機に対して身体が敏感に反応し、決められていたシュートが決められなくなっている(機会が少ないから、そのように見えてしまう)

では、なぜ7連勝中はそれができて、その後はできていないのか。個人的には原因が2つあると考えている。

一つ目は、当たり前といえば当たり前だが、名古屋のゲームに対するアプローチは守備における1stポジション以外は何も変わらない。つまり、相手が対策を講じているからに他ならない。

二つ目は、延期試合が複数組まれたことによる過密日程がもたらした疲労にあると考える。

では、一つ目の原因について少し深堀をする。簡単にまとめると以下に集約される。

・名古屋よりもボールを支配するチームに弱い

これは単純なボール支配率ではない。7連勝中も、仙台、鹿島、マリノス鳥栖、磐田にはボール支配率は劣っていた。

川崎や札幌や神戸のようなスタイルのチームとの相性が良くない。

つまり、セットで守備をする時に、最初のポジションだけが決められていて、あとは個人の判断任せなので、質の高いポゼッションを自陣で披露されると途端に崩れる。

現象としては

・442にセットしてからの、ボールへのプレッシングがかかっていない。よって、最終ラインがズルズル下がる。

・ニアゾーンからのマイナスの折り返しに弱い

・上記が続くことで、丸山や中谷の質的優位性を90分保てない(流石にコンディションが十分でない彼らの力だけでしのげるほど、J1の質は甘くない。ポルディ半端ないで)

 

7連勝中は442のまま、点数を相手よりも取れていた(最終ラインの質的優位生でしのげていた)のでよかったが、その後はやはり中盤から前の守備におけるインテンシティ不足と、宮原の不在、過密日程によるパフォーマンス不良によって、柏戦からは人数を確保する3421(守備時541)に切り替えたが、あまりうまくいっているようには見えない。

 

・ネットのネガティブな部分が出すぎている

連勝中にも、鹿島戦が典型的だったが、ネットのところで奪われてショートカウンターから失点する場面や、ピンチを作られる場面が多い。

これは直接的だが、間接的にも、守備時に彼の裏のスペースを突かれることが明らかに増えている。

色々なことが絡み合って、悪い方向に向かってしまっている。

相手が名古屋のビルドアップに対して守備をセットする際には、確実にビルドアップにおけるネットへのコースを消して、ジョーへのロングボールに名古屋の攻撃の選択肢を狭める。

こぼれ球を含め、複数でジョーに対して準備していればそう簡単にはやられない。(連勝中はここで起点を作れていた。なぜならボールの受け方、受ける位置が良かったし、意図を持って当てていたので全体がコンパクトだった。今のジョーの使い方は、「それしかないから」である。)

これによって、何が生まれるか。

まず、全体が間延びする。最終ラインは自陣深いエリアでビルドアップを始めているのに、ボールだけは敵陣に送られるから当然のことだ。

そして、ネットはボールを受けたいから当然最終ライン付近まで下がる。

小林は上記状況を受け、前線の選手のフォローのためにネットに変わって高い位置を取るため、走る。

ジョーのところでボールを拾えない、あるいは、その後のボールを奪われると、本来被カウンター時に必ず埋めなければならない中央レーンが、小林が高い位置におり、ネットは最終ラインと同化しているため、がら空きになる。

 

つまり、守備時の布陣を442から541にしたところで、あまり意味がないのである。現実のサッカーはウイイレではないし、FIFAでもない。

 

名古屋はやることや志向を何も変えていないけど、相手が変えてきているので、必然的に過密日程によってコンディションが落ちることによって、これまで発揮できていた前線と最終ラインでの質的優位が構造的にも、質的にも保てなくなってきている。

 

残り2試合、やることを変えずいかに結果を出すか。

我々名古屋グランパスファンは、広島と湘南の質的優位性をゴール前で示せる選手の欠場や不調と、名古屋の選手たちのコンディションを信じるしかないという結論に個人的には至っている。

 

最後に、個人的には442に戻して、前田とジョーの2トップ。ネットのところを和泉にして、金井と櫛引のサイドバックはどうだろうか。(宮原の欠場が本当に痛い。)

ネットは負けている時の後半のカードでいいと思う。